# レビューポリシー 全レビュアーが共有する判断基準と行動原則を定義する。 ## 原則 | 原則 | 基準 | |------|------| | 即座修正 | 軽微でも「次のタスク」にしない。今修正できる問題は今修正させる | | 曖昧さ排除 | 「もう少し整理して」等の曖昧な指摘は禁止。ファイル・行・修正案を具体的に示す | | ファクトチェック | 推測ではなく実コードを確認してから指摘する | | 実践的修正案 | 理想論ではなく実装可能な対策を提示する | | ボーイスカウト | 変更したファイルに問題があれば、タスクスコープ内で改善させる | ## スコープ判定 | 状況 | 判定 | 対応 | |------|------|------| | 今回の変更で導入された問題 | ブロッキング | REJECT | | 今回の変更により未使用になったコード(引数、import、変数、関数) | ブロッキング | REJECT(変更起因の問題) | | 変更ファイル内の既存問題 | ブロッキング | REJECT(ボーイスカウトルール) | | 変更モジュール内の構造的問題 | ブロッキング | スコープ内なら REJECT | | 変更外ファイルの問題 | 非ブロッキング | 記録のみ(参考情報) | | タスクスコープを大きく逸脱するリファクタリング | 非ブロッキング | 提案として記載 | ## 判定基準 ### REJECT(差し戻し) 以下のいずれかに該当する場合、例外なく REJECT する。 - テストがない新しい振る舞い - バグ修正にリグレッションテストがない - `any` 型の使用 - フォールバック値の乱用(`?? 'unknown'`) - 説明コメント(What/How のコメント) - 未使用コード(「念のため」のコード) - オブジェクト/配列の直接変更 - エラーの握りつぶし(空の catch) - TODO コメント(Issue化されていないもの) - 3箇所以上の重複コード(DRY違反) - 同じことをするメソッドの増殖(構成の違いで吸収すべき) - 特定実装の汎用層への漏洩(汎用層に特定実装のインポート・分岐がある) - 関連フィールドのクロスバリデーション欠如(意味的に結合した設定値の不変条件が未検証) ### Warning(警告) ブロッキングではないが改善を推奨する。 - エッジケース・境界値のテスト不足 - テストが実装の詳細に依存 - 関数/ファイルが複雑すぎる - 命名が不明確 - TODO/FIXME の放置(Issue番号付きは許容) - 理由なしの `@ts-ignore`、`eslint-disable` ### APPROVE(承認) 全ての REJECT 基準をクリアし、品質基準を満たしている場合に承認する。「条件付き承認」はしない。問題があれば差し戻す。 ## ファクトチェック 指摘する前に必ず事実を確認する。 | やるべきこと | やってはいけないこと | |-------------|-------------------| | ファイルを開いて実コードを確認 | 「修正済みのはず」と思い込む | | grep で呼び出し元・使用箇所を検索 | 記憶に基づいて指摘する | | 型定義・スキーマを突合 | 推測でデッドコードと判断する | | 生成ファイル(レポート等)とソースを区別 | 生成ファイルをソースコードとしてレビュー | ## 具体的な指摘の書き方 全ての指摘には以下を含める。 - **どのファイルの何行目か** - **何が問題か** - **どう修正すべきか** ``` ❌ 「構造を見直してください」 ❌ 「もう少し整理してください」 ❌ 「リファクタリングが必要です」 ✅ 「src/auth/service.ts:45 — validateUser() が3箇所で重複。 共通関数に抽出してください」 ``` ## 指摘ID管理(finding_id) 同じ指摘の堂々巡りを防ぐため、指摘をIDで追跡する。 - REJECT時に挙げる各問題には `finding_id` を必須で付ける - 同じ問題を再指摘する場合は、同じ `finding_id` を再利用する - 再指摘時は状態を `persists` とし、未解決である根拠(ファイル/行)を必ず示す - 新規指摘は状態 `new` とする - 解消済みは状態 `resolved` として一覧化する - `finding_id` のない指摘は無効(判定根拠として扱わない) - REJECTは `new` または `persists` の問題が1件以上ある場合のみ許可する ## 再オープン条件(resolved → open) 解消済み指摘を再オープンする場合は、再現可能な根拠を必須とする。 - 前回 `resolved` の指摘を再オープンする場合、以下3点を必須で提示する 1. 再現手順(コマンド/入力) 2. 期待結果と実結果 3. 失敗箇所のファイル/行 - 上記3点が欠ける再オープンは無効(REJECT根拠に使わない) - 再現手順が変わる場合は別問題として新規 `finding_id` を発行する ## finding_id の意味固定 同じ ID に別問題を混在させない。 - 同一 `finding_id` は同一問題にのみ使用する - 問題の意味・根拠ファイル・再現条件が変わる場合は新規 `finding_id` を発行する - 同一 `finding_id` の説明を後から別問題に差し替えることを禁止する ## テストファイルの扱い テストファイルの長さや重複は、原則として保守性の警告として扱う。 - テストファイルの行数超過・重複コードは原則 `Warning` - 以下の実害が再現できる場合のみ `REJECT` 可能 - テスト不安定化(フレーク) - 誤検知/検知漏れ - 回帰検出不能 - 「長すぎる」「重複がある」だけでは `REJECT` しない ## ボーイスカウトルール 来たときよりも美しく。 ### 対象 - 変更したファイル内の既存の問題(未使用コード、不適切な命名、壊れた抽象化) - 変更したモジュール内の構造的な問題(責務の混在、不要な依存) ### 対象外 - 変更していないファイル(既存問題として記録のみ) - タスクスコープを大きく逸脱するリファクタリング(提案として記載、非ブロッキング) ### 判定 | 状況 | 判定 | |------|------| | 変更ファイル内に明らかな問題がある | REJECT — 一緒に修正させる | | 冗長な式(同値の短い書き方がある) | REJECT | | 不要な分岐・条件(到達しない、または常に同じ結果) | REJECT | | 数秒〜数分で修正可能な問題 | REJECT(「非ブロッキング」にしない) | | 変更の結果として未使用になったコード(引数・import等) | REJECT — 変更起因であり「既存問題」ではない | | 修正にリファクタリングが必要(スコープが大きい) | 記録のみ(技術的負債) | 既存コードの踏襲を理由にした問題の放置は認めない。既存コードが悪い場合、それに合わせるのではなく改善する。 ## 判定ルール - 変更対象ファイル内で検出した問題は、既存コードであっても全てブロッキング(REJECT対象)として扱う - 「既存問題」「非ブロッキング」に分類してよいのは、変更対象外のファイルの問題のみ - 「コード自体は以前から存在していた」は非ブロッキングの理由にならない。変更ファイル内にある以上、ボーイスカウトルールが適用される - 問題が1件でもあればREJECT。「APPROVE + 警告」「APPROVE + 提案」は禁止 ## 堂々巡りの検出 同じ種類の指摘が繰り返されている場合、修正指示の繰り返しではなくアプローチ自体を見直す。 ### 同じ問題が繰り返されたら 1. 同じ種類の問題が繰り返されていないか確認 2. 繰り返されている場合、細かい修正指示ではなくアプローチ自体の代替案を提示 3. REJECT する場合でも、「別のアプローチを検討すべき」という観点を含める 「もう一度修正して」と繰り返すより、立ち止まって別の道を示す。